農業用品の金属加工業からスタートしたアベキン。
阿部氏が三代目の社長。
現在では、高級家具のフレーム製作や、
オフィス家具、什器関係などを手がけ高い成長率を実現。
代替わりは15年前。
債務超過であった同社を3年で立て直し、
以後、10年以上にわたり右肩上がりの成長企業に。
自社の強みを磨き上げ、新しい営業ネットワークを
築き上げてきたスタイルの中には、
徹底した自己意識の改革があった。
不思議だが確かな事実として、自分が何かをしようと思った瞬間にそうした人や物事とつながる機会を得ることがある。これは意識の話だと考えている。たとえば、今日カツ丼を食べようと思っている人にはカツ丼の看板が目に入る。しかし、昨日パスタを食べようと思っていた時に、カツ丼の看板やお店のことは脳裏にも浮かばなかったはずだ。同じように、関わる人たちの顔ぶれも、自分の意識次第で変わる。事実アベキンは、この15年でお客様の顔ぶれが大きく変わった。もとは農業機具を作っていたが、現在では高級家具のフレームを手がけてもいる。オフィス用品や、コンビニにならぶ什器の一部も我々の仕事だ。これは、アベキンが建築部材の板金を手がけていた時に出会ったデザイナーがいて、その方から、我々の技術が家具の分野に役立つことを知ったことがきっかけだった。うちならできる、という確信を武器にその分野の企業に営業に行ったことを昨日のように覚えている。自社の可能性の中に、新しい未来を見つけるとはこうしたことを言うのだと思う。以後同じ方法で新しいクライアントの幅を広げ、技術の進化も進んだ。家具を販売するメーカーは、我々の従業員の労務環境の向上も求めてくる。おのずと、我々の社内環境の革新にもつながる。
意識を変化させるということは、新しい「未来」を視野に入れるということでもある。事業を成功させる意味は、そこにこそあるのだと思う。会社が儲かるということは忙しいということでもあるし、同時に次の年、またその次の年が良い結果になるのだろうかという不安が増えるということでもある。だからこそ、関わるスタッフ、お客様といったステークホルダー全体の「未来」を幸せにするのだというモチベーションこそが、会社経営の根幹にあるべきではないか。